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【社長インタビュー後編】コンセプトは「つながりファースト」。顧客密着の原点回帰で、「選ばれ、愛される地元店」に。

2023.10.30

Information

歌野 繁美

エリア・役職
代表取締役社長

コロッケ倶楽部と歌野社長が織りなす、成長ストーリー。後編では、斬新なアイデアを次々に形にしながら創業期の苦難を乗り越え、全国展開、株式上場、コロナ禍を経て「地域密着」「顧客密着」の原点に立ち返るまでの流れを、歌野社長自身の言葉を交えて振り返ります。

前向きな失敗を讃えるカルチャー。それもボナーらしさ

どうにか1号店オープンに漕ぎつけたものの、売上はいっこうに伸びない。それでも歌野は落ち込むどころか、日々ワクワクしていた。コロッケ倶楽部は業界では後発店。お客様を増やすには、他店にない新しい工夫が絶対に必要だ。それを考えるのが、26歳の歌野にはこの上なく楽しかった。

考えながら歌野は、思いついたアイデアを次々に実行する。フードメニューの導入もその一例。カレーライス、唐揚げ、ウインナー炒め… 一口コンロと製氷機を入れた急ごしらえのキッチンで、近所のスーパーで買ってきた食材を調理したレベルの料理でも、当時のお客様には「えっ!カラオケ店なのに乾きもの以外も頼めるの?」と、大いに喜ばれた。

客数アップの決定打となったのが、既定時間内が歌い放題になる「フリータイム制」導入のアイデアだ。その頃の歌野は、店にいても街を歩いていても、常に「何かいい案は…」と知恵を絞っていた。フリータイム制も、ある時、休憩もできる宿泊施設で「ノータイム制」の看板を見かけ、「これだ!」と閃いたのがキッカケだった。

「当時はまだ、室料プラス1曲100円など、歌えば歌うほどお金がかかる仕組みが主流。時間を気にせず何曲でも歌えるフリータイム制は学生や主婦層に大いにアピールし、それまで閑古鳥が鳴いていた平日昼間や深夜帯の賑わいに直結しました」と、歌野は明るく振り返る。こうして1号店は、オープン2年目には早くも黒字転換。以後、北は関東から南は沖縄まで、日本中で出店ラッシュが続き、コロッケ倶楽部の名はほどなく全国ブランドに。この快進撃も原動力となり、ボナーを含むウチヤマホールディングスは2014年、東証一部上場を果たしている(現在は東証スタンダード市場)。

面白そうな企画は即、実行――創業時の歌野を動かした鉄則は、今ではボナーの基本カルチャーに。ランチとカラオケをセットにした「BOXランチ」をはじめ、社員の提案が形になった施策は数えきれないほどあるが、「冬場のおでん」など、早々に見切りをつけた企画も少なくない。「新しい試みは失敗して当たり前。それで怒られるようなことはありません」と歌野。結果に関係なく、前向きなチャンレンジほど高く評価されるのも、ボナー流だ。

お客様から届いた一通の手紙。その背景にも、ボナーらしさ

日本中、いや世界中の人と企業が苦難に見舞われたコロナ禍にあって、新規出店を見合わせるなど、ボナーの経営も一定の影響を受けた。その厳しい時期がようやく一段落した今、新たな出店戦略が見えてきた。

「短期間に店舗数を増やすには、効率重視の統一マニュアルに頼らざるをえない面があります。コロナ以前のコロッケ倶楽部もそうでしたが、これからは違います」と歌野。いつもにこやかな表情が一瞬、引き締まる。

「実は関東や関西の店舗でも、九州出身の方のご利用が目立ちます。”中高時代によく友達と来たから”と、そんな声を聞くたびに、やっぱりコロッケ倶楽部は九州のカラオケチェーンなんだと、あらためて教えられる思いです」。歌野の表情に、穏やかな笑みが戻った。

九州で生まれ、九州に育てられたカラオケチェーン。今後は、このボナーならではの強みを最大限に活かし、九州・山口・沖縄エリアを中心に店舗展開を進めていく方針だ。

「コロッケ倶楽部の特長は。お客様との距離が近いこと。“吉田さん、BOXランチはいつものチキン南蛮ですよね?”と、常連さんをお名前でお呼びし、お気に入りメニューを先回りして用意…、そんなキメ細かい接客が根付いています」

時には「今日のごはんは少し硬かったよ」などとお叱りを受けるのも、距離が近いからこそ。「もう来ないよ!」と言い残して帰ったお客様さえも、数日後にはいつもの笑顔で来店。他店なら、何も言わずに離れていくだけだろう。あるお客様は、長年交流のあったアルバイトスタッフが退職したと聞いて、社長に直接、感謝の言葉が詰まったお礼の手紙を送ってくれた。

店舗数の多い九州。とはいえ駅前や街道沿いなど、大型店向きの立地にこだわらなければ、出店チャンスはまだまだ無尽蔵と言っていい。「小型店や少人数スタッフの店など、店舗の形を工夫しながら、まだコロッケ倶楽部がない街に、私たちらしい接客をお届けしていきたいと思っています」と、静かに決意を明かす歌野。

今まで以上に、地域に選ばれ、地元に愛される店へ。コロッケ倶楽部の新たなチャレンジが始まる。

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